BIONICLET 第2話
     能力

ズズーッ・・ズーッ・・ギチギチ・・
ゆっくりと開いた壁から、不気味に響く機械音とともに何かが近づいてくる・・

そこからは八本足のヴァキに似た機械がゆっくりと現れた・・。見る限り後ろにもいるようだ。
・・静かになった機械音はやがて怪物の鳴き声のようになった―。
キィィィィー!


「な、何だこの音は!」緑ヴァキが耳をふさぎながら言う。

「攻撃力・装甲・瞬発力・環境適応能力・・コノ「ジベーザック」ハ、スベテノ性能ニオイテ貴様ヲ上回ッテイル」
リーダーの黒ヴァキはそう言っている最中に、ジベーザックに何か指令を下しているようだった。

ジベーザックは緑ヴァキを見るなり、まるでハエトリグモのように素早く跳ねて前に躍り出た。
「何と!見かけによらず素早いんだな!でもな・・・」緑ヴァキはそういいかけると、素早くジャンプして
ジベーザックの上を捕らえ、キックを食らわせようとした!しかしあっさり回避される。

ジベーザックはすでに緑ヴァキの着地地点に待ち構えており、一撃を食らわせた!
「けっ・・!ずる賢いヤツ・・!」
積極的な攻勢に出たジベーザックに対し、緑ヴァキは反復横飛びのようなステップでなんとか攻撃をかわした。

何度もかわしている内にジベーザックはやがて攻撃をやめ、ふたたび鳴き声を上げはじめた!
「や、止めろこの音!」緑ヴァキのステップは狂い、その拍子にジベーザックは緑ヴァキの足を捕らえた!

ジベーザックは四本の足で緑ヴァキを持ち上げると、一気に挟み、絞めつけた!
「どわぁぁぁ!・・・は、離せ・・!」
ジベーザックは緑ヴァキを思い切り放り投げると、自慢げに鳴き声を上げた!

「痛ってて・・くそ・・俺にも武器さえあれば・・!」緑ヴァキはフラつきながら立ち上がると、腕をかざした!
ジベーザックはなおも近づいてくる・・。
「って意味無いか・・とりあえず念じてみよう」

緑ヴァキは試しにひたすらきばって見た!

すると、緑ヴァキの腕が変形し、そこから薄い刀のような物が出てきた!畳まれていたのだろうか。
「・・何と!俺にもあったのか!!ならば・・」

その時ジベーザックは猛スピードでこちらに突進してきていた!

緑ヴァキはゆっくりと刀を構え、回避しようとはしなかった。

ザグン!

緑ヴァキは襲い掛かってきたジベーザックをすれ違いざまに切り込んだ!
ジベーザックは火花を立てて崩れ、動かなくなった。

「どんなもんだい!」緑ヴァキは振り返りざまに言うと、
すでにそこには別のジベーザックが立ちはだかっていた!
「・・ふん、何体出てきたって同じ倒し方をするまでだ!」
緑ヴァキは再び刀を構える。

・・・・ギチ・・・ギチ・・
するとそのジベーザックが不気味な機械音を立て始めた!

・・ギチ・・ギチ・・ガチャ・・・ズズーッ・・
ジベーザックの首が回転し、足からも、腕からも特殊な機械音がする。

・・そしてそこにいたのは先ほどの姿とは違う、二本足の姿だった。

「・・変形した!?」緑ヴァキは正直身の危険を感じ、後ずさりをした。

ジベーザックは、緑ヴァキが後ずさりをして間隔を空けてしまったのが好都合だったのか、
ディスクとレーザーの一斉掃射を始めた!!

「どわぁぁぁ!熱っつう!」
高温のレーザーの嵐が緑ヴァキを襲う!


やがてレーザーは止まり、再び機械音が鳴り始めた。どうやら熱を出しすぎてオーバーヒートしてしまったようだ。
本当ならここがチャンスなのだが、レーザーのダメージを受けた体で緑ヴァキはまだ上手く動けなかった。

「俺にも飛び道具が使えたら・・・!」そう思った緑ヴァキは再び念じてきばってみた!

するとどうだろう、彼の口にはカノカディスクが生成されていた!
「・・これも俺使えるのか!!・・よし!」

緑ヴァキは冷却中のジベーザックをディスクで攻撃し、冷却が遅れたジベーザックを、
自分のダメージが抜けた頃合を見計らって、一気に間合いを詰め刀で斬りつけた!
ジベーザックは煙を上げ、動かなくなった。

「どんなもんだ・・ってまだいるのかよ!」
緑ヴァキが振り向くとそこにはもう一体のジベーザックが!

そのジベーザックは変形すると、今度は緑ヴァキの上を滑空し出した!

「・・と、飛んだ!?」ジベーザックはすでに緑ヴァキの手の届かない所まで飛んでいた。

ジベーザックは空から容赦なくディスクを連射してきた!!
「・・・コイツ・・!卑怯だぞ!降りてこい!」
緑ヴァキのそんな言い分を全く無視し、真上からまだディスクを乱射してくる。

「真上じゃぁこっちからディスクは当てられないぞ・・・?
どうする!?飛べれば良いんだけど・・・!!」緑ヴァキは意識を背中に集中し、また念じてみた!

すると背中に背負っていたものから黄色い光が放たれ、緑ヴァキは体が軽くなったかのように高くジャンプした!
「・・俺も飛べたぞ!覚悟しな!!」

緑ヴァキはジベーザックの真下からジャンプし、思い切り引き裂いた!
・・少し経って、ジベーザックは少し離れた所に墜落した!

「・・・・!!」リーダーの黒ヴァキはジベーザック3体が一度にやられた事に驚愕しているようだった。
「さあ、お次は何だ?」緑ヴァキは軽く言い放ったが、再び手下の黒ヴァキたちが襲ってきた!

再び、緑と黒の1対6の一進一退の攻防戦が始まる。



と、その時!!

・・ブブブブブブブブ・・・

空から耳障りな羽音とともに現れたのは、このあたりではほとんど見かけられないラヒ、タガラムヌイであった!―

タガラムヌイは、黒ヴァキを見るなり掴みかかってその太い毒針を刺し、黒ヴァキを倒して運んでいる。
それはかなり素早い作業で、ヴァキに反撃の隙を与えなかった。
どうやら狩りをして巣に持ち帰ってゆっくり食べるつもりようだ。もっとも食べられる訳無いのだが。

「・・ラッキー!このままこのトンボハチ野郎にやらせるか!そろそろ危ないと思っていた所だし」
緑ヴァキはタイミングを見計らってこの場から逃げようとした。
だが彼はある事に気づく。

手下たちが襲われている今、一体リーダーヴァキは何をしているのだろうか・・。

特に何もせず、ラヒをひたすら見ている。
すると、タガラムヌイは彼に気づき、襲い掛かろうとした!

・・リーダーヴァキは自分の杖をかざすと、そこから怪しげな光を出し、
タガラムヌイに直撃させた!!

「・・まさか、倒しちゃった?」緑ヴァキは不安げにラヒを見て言った。

光を食らい一度地に落ちたタガラムヌイは、再びゆっくりとその場で飛び始めた。
「生きてた・・!さあリーダーのヴァキも倒しちゃってくれ!」緑ヴァキは小声で言った。
タガラムヌイは飛び始めたが様子がおかしい。リーダーヴァキの隣で大人しくホバー飛行をしている。

「な、何だ・・!?」緑ヴァキの脳裏に最悪の状況がよぎった。
タガラムヌイはずっとこちらを睨んでいる―生気を失ったような目で。

リーダーヴァキが杖を軽く振ると、タガラムヌイが猛スピードでこちらに飛んできた!!

シャァァァァ!

「・・・勝てなくね!?」

To be continued・・

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