BIONICLET 第3話
 メトロ・チェイス

ブブブブブブブ・・・

リーダーヴァキの指令を受けたタガラムヌイが、緑ヴァキ目掛けて猛スピードで飛んでくる・・!!

「・・おいおい、なんてこった」
緑ヴァキはそう言うと逃げようとしたが、すぐに追いつかれてしまった!

・・かなりのスピードと怪力を持つタガラムヌイと、先ほどの戦いで若干弱っている緑ヴァキ。
勝負は一方的に緑ヴァキがやりこめられてしまった!!
タガラムヌイが何度も針を向け突いてくる。緑ヴァキはそれを何とか避ける。針から流れ出た毒が地面を溶かす―。

するとタガラムヌイは、緑ヴァキの意表をついて足でわしづかみにした!
体を固定したタガラムヌイは、再び針を向ける!
「ちっ・・かわしきれねえ!」緑ヴァキは何とか体を振って避けようとする。

その最中にもリーダーの黒ヴァキは、近くにあったシュートに乗って、どこかへ流されていっていた!


「あいつ・・逃げる気か!」しかし緑ヴァキはタガラムヌイにしっかりと掴まれている。
「どうすっかな・・・!ようし!」
すると緑ヴァキは、上手い具合に大きく体を揺らすと、タガラムヌイのバランスが崩れ、掴まれたままシュートに飛び込んだ!

突然のシュートの流れに驚いたのか、タガラムヌイは足を離し、緑ヴァキは自由になった!
しかしそれに怒ったのかタガラムヌイはシュートの流れに逆らってまで針で攻撃してくる!

「ひぃ〜!さっきより避けづらい!」緑ヴァキはそう言っている最中にも、すでに足に針をかすめられていた!!
太い毒針がシュートを貫き、少しづつ壊れていく。

「ここもあんまりもたなそうだな・・・早くここから出なきゃ!」緑ヴァキはそう言うも、執拗に攻撃してくるタガラムヌイから
逃げることは出来ない。 すると、シュートの壊れた部分が災いし、一瞬スピードが下がり、
その瞬間には毒針が緑ヴァキに刺さっていた!!

「・・うぐあぁぁ!痛ってぇ〜!」緑ヴァキはそう言いながら、力なくシュートにまだ流されていく。
それを隣で見ているタガラムヌイが満足そうに鳴き声をあげる。

その後タガラムヌイはとどめを刺そうと尻尾を構えた!


と、その時!突然緑ヴァキの後頭部が激しく光り出し、彼の頭を包んだ!

「ななな、なんだ!?」本人には何が起こったか良く分からなかったが、とりあえず何か力がみなぎって来たことは分かった!

タガラムヌイはそのまぶしさに目をくらませているようだった!
緑ヴァキはなんとか体勢を立て直すと、そのままタガラムヌイを斬り付けてやった!

ギシャァァァー!
タガラムヌイは大きな悲鳴を上げたが、ふらつきながらもまだ緑ヴァキに立ち向かおうとする。


一人と一匹はまだシュートの中を流れていく・・!






そのころマトラン達は無事シュートからは降り、遠くへと逃げ続けていた!

「・・はあ・・はあ・・一体、どこまで行けばいいのよ〜・・」青マトランが疲れたように言う。
「・・ええ〜っと、島の外、かなぁ・・」黄緑マトランが切れ切れに言った。

ガチャ・・ガチャ・・

「・・へっ?」マトラン達が顔を上げると、目の前には大きな黒い影が!


「けっ・・・またお前か!」緑マトランがリーダーヴァキに向かって呆れたように言う。
「お前ら、先に逃げてろ!」緑マトランが二人に言うと、「・・まさか、あの緑色のヴァキを待つんじゃあ・・」と黄緑が言いかけた。

「絶対戻って来なさいよね・・さっさと逃げるわよ!」青マトランが黄緑を引っ張って急いで去っていった。

「さ〜て、勝負だツノ野郎!」
緑マトランはしばらくにらみ合った後、ボールを置くと、思い切り蹴り上げた!

ゴッ!

「うぃ〜!来たよこの音!」
緑マトランは再び自分のボールが当たった鈍い音を聞いて、挑発するように喜んだ。

それを聞いたリーダーヴァキはゆっくりと立ち上がり・・

何を思ったか、緑マトランを思い切り張り倒し、足でマスクを踏みつけたではないか!

「・・貴様ノヨウナ不良品マトランハ、私ノプライドガ許サナイ」
リーダーヴァキはまだ強く踏みつけている。
「・・うぐぐぐ・・ヴァキが・・こんな事していいのかよ・・!」緑ヴァキは苦しそうに言い続ける。

ゴッ!!

「・・待たせたな!」
再び鈍い音とともに緑マトランが顔を上げると、そこにはさきほどの勇姿―緑色のヴァキが立っていた!

近くで、蹴られたリーダーヴァキがゆっくりと立ち上がろうとしている・・

「す・・すげえ・・あ・・ありがとぅーす」緑マトランが驚きながら言う。
「お前も先に逃げろ!」緑ヴァキがそういうと、マトランは急いで走っていった。

ちょうどその時、リーダーヴァキは立ち上がると、緑ヴァキの前に立ちはだかった!
2体のヴァキが対峙する。
「お前の手下のトンボはシュートに流れちまったぞ!どうする・・?」緑ヴァキが挑戦的に言う。
だが、リーダーヴァキは全く動揺の様子を見せない・・・

と、突然リーダーヴァキが杖を上に振り上げた!!

・・シャァァァァ!

後ろにあった壁を突き破って出てきたのは、さっきのタガラムヌイだった!!
それは再び緑ヴァキに掴みかかった!
「なんだってこんな所に・・・さっき流されたじゃん!?」緑ヴァキがタガラムヌイを離そうとしながら言う。

「・・私ノ任務ハ必ズ失敗シナイ・・!」リーダーヴァキはタガラムヌイを操りながら言う。

「・・・そうかよ!」緑ヴァキはタガラムヌイをはらうと、マトラン達の逃げていった方へと走っていった!


しばらく逃げていくと、そこには巨大な穴がぽっかりと開いていた。

「何だよこれ・・・あいつらどうやって逃げたんだ??」緑ヴァキが穴の前で戸惑っていると、
もうそこにはリーダーヴァキとタガラムヌイが・・

2体はじりじりと迫ってくる・・
「・・どうする?・・俺・・!」緑ヴァキは後ずさりし、穴との間は少しづつ狭まっていく・・
もう後一歩の距離だ。中からよく分からない騒音が聞こえてくる・・・。

・・リーダーヴァキが杖を振ると、タガラムヌイが思い切り針を刺そうと突っ込んできた!


・・緑ヴァキはそれをとっさに避けたが、すでに自分の足が地面についていない事が分かった。

「・・・へ?」

「どわああああああああ!」
緑ヴァキは暗く深い穴へと落ちていった・・―












あれからどのくらい落ちた時だろうか・・・。

・・穴の途中で、パッと何かに引っかかった・・・いや、手を握られたような感じであった・・。

「・・あ、あぶねぇ〜;もう少しで落ちる所だったぜ・・」上から先ほどのマトラン達の声がする。
「・・タ、タコス〜;もう腕がもたないよ〜!」黄緑の声だ。
「・・何言ってんのよ!早く引っ張りあげるわよ!!」青がそう言うと、緑ヴァキの体は一気に引っ張られた!

そこは、暗く、緑ヴァキでは立てないほどの小さな穴だった。

四人は壁に開いた薄暗い穴の中で座った。
「・・引っ張ってくれてありがとよ」少したってから緑ヴァキが言った。
「いやいや、助けてもらったのはこっちだぜ!めちゃくちゃかっこよかったぞ!」緑マトランが言う。

「あ、そういや、え〜と・・」緑ヴァキはそこまで言いかけて止めた。
「・・私たちの名前教えてなかったわね〜」青マトランが言った。

「オレはタコスだ。よろしくな!」緑マトランが言った。
「・・・ぼ、僕はレソト。宜しくお願いします。。」黄緑マトランが少しおどおどしながら言った。
「私はガーマトランのトルテよ。よろしく〜。」青マトランが言う。

「・・ところで、あんたの名前は?」タコスが緑ヴァキにたずねる。

「俺の、名前・・・?・・・・・すまねえ、俺は四日前までの記憶が無いんだ・・。」緑ヴァキがうつむき気味に言う。

「・・・よ、四日前・・?それってヴァキの試作型コンテストの決勝があった日じゃ・・・!?」レソトが勝手に驚きながら言う。
「それと何の関係が??」青マトランがつっかかる。
「・・LE-23、レーザックかもしれないって事だよ・・試合中に行方不明になったんだ・・」レソトが無視して勝手に話を進める。

「・・??」前のことを知らない緑ヴァキには全く意味が分からない。。
「そういえば黒いヴァキもなんか言ってたわね・・・」トルテが首をかしげながら言う。

「・・じゃあ、レーザでいいじゃん!!・・」タコスが突然立ち上がって言い出した。

「レーザか・・悪くねえな・・!」 少したってから緑ヴァキが呟く。
「じゃあ決定!!」いいとこ取りされて不満げな二人を尻目に、タコスが大きな声で言った。

「・・ところで、追ってきたアイツらは何者なんだ?」レーザが聞く。

「あの黒いヴァキはギーダックというヴァキで、あのリーダーの名はギーダ
その仕事は、普通の仕事の裏で、故障したヴァキを処理すること。暴走するとかなり危険なんだ。
あれはコンテストに出されて事実上優勝したものなんだ。1体のリーダーが数十体のギーダックをコントロールできるという新機能を持っているんだ。そしてそのリーダーはヴァキとは思えない特別な知能をもっており・・」レソトがつらつらと言う。

「ああもう、あんたのオタトークはいいから!」トルテがさえぎったらレソトはすねてしまった。。

「ここはどこなんだ??」レーザが次の質問をする。
「ここはレーメトロの巨大ゴミ捨て場。海まで通じてる深い穴なんだ。
ちなみに僕らが今いる、この小さな洞窟は巨大ゴミ捨て場を掘る時に使ったんだ場所なんだ。それで・・」レソトがまた説明する。
「ああ!もういいから!」再びトルテ。      「うぅ・・・」

「・・大体分かった。他にも聞きたいことが・・・」レーザがそこまで言いかけると・・

ブブブブブブブブ・・・
何処かで聞いたことのあるような耳障りな羽音が聞こえる・・・?


シャァァァ!
「げげっ!またお前かよ!!」レーザが嫌そうに叫ぶ。
洞窟に気づいたのか、先ほどのタガラムヌイが待ち伏せていた!!

「どどどど、どうする??」レソトが焦りながら言う。
「逃げるしかないっしょ!!」タコスはそういうと、洞窟の壁のあたりをいじくっていた。
「出口を掘るなんて無理よ!」トルテが言った。

すると、突然壁が剥がれ、そこにはボトルのようなものが置いてあった。


「・・だ、脱出用ポッド!?ゴミ捨て場掘る時に忘れていったのかな・・」レソトが呟く。
「なんでもいいけどラッキーだ!!」タコスが脳天気に言った。。
「・・早くしないと入ってくるぞ!!もう突っ込むしかねぇ!!」レーザはそう言うとボトルの中に入っていった。
「もうアイツの頭が入ってきてる!!早くボトルに!!」マトラン達も無理矢理ボトルに入っていく。

「・・・ねぇ!さすがにこれは無いんじゃない!?」トルテが怒りながら言う。
「いやさ、ボトルが二つしかないからs(ry」レソトがなだめようとするがごたごたの中で殴られたようだ。

「ていうかレーザ1人だけ1ボトルなんてズルいぜ!」タコスがボトルの中で暴れながら言う。
「・・いや俺体デカいし・・・」

と、その時岩の崩れる音とともに、耳障りな羽音が洞窟中に響いた!
「・・入ってきた・・!」

ブブブブブブブ・・・
タガラムヌイはボトルを見つけるなり、掴んで洞窟の外に飛んで運んだ!!

「ひぃぃぃ〜!!」激しく揺れるボトルはマトラン達を恐怖に陥れた。しかしレーザは違う。
「お前達!もっと揺らすんだ!」そういうとレーザは、体をボトルの中で揺らし始めた!!
マトラン達も暴れ始める。

するとタガラムヌイは、バランスを崩して壁にぶつかると、ボトルを奈落の底に落としてしまった!!


「良くやったぞ!みんな!!・・ってどわあぁぁぁ!!」



                    


                         To be continued.・・・
戻る